2015年4月29日水曜日

(32)古代エジプト人のパンの分け方



2008.8.26 07:50
 先日、小学生から「この式はどんな意味か? 710×5 1/2=0.141」と出題されました。マジに考えていたら、「ナット-・カケ・ゴハン・ワ・オイシイだよ。テレビでお笑い芸人がやってた」と大そう得意げ。この小学生に「分数は好きか」と尋ねると、「大嫌い」と即座に返ってきました。
 分数は、紀元前1650年ごろに書かれた古代エジプトの数学書リンド・パピルスにも登場しています。たとえば、何とも不思議なことに、分子が2で分母が奇数の分数が、分子が1の異なる分数(単位分数という)の和の形で記述されているのです。すなわち2/5=1/3+1/15、2/7=1/4+1/282/101=1/101+1/202+1/303+1/606。
 なぜ、わざわざ単位分数の和の形で表していたのか? 本当のところは定かではありませんが、古代エジプト人のパンの分け方に起因しているのではないかという説があります。
 たとえば、4個のパンを5人で平等に分けるとしましょう。1人分は4÷5=4/5 ですが、エジプト人は次の手順に従って分けたそうです。
(1)同じ量のパン片が5個以上になるように、まず4個のパンそれぞれを2等分して、同じ量(1/2)のものを8個つくる。5人がそれぞれ1/2の量を1つ分ずつ取る(図1)。(2)余った1/2の量の3個のパン片をそれぞれを2等分して、6個の同じ量(1/4)のパン片をつくる。5人のそれぞれが1つ分(1/4)ずつ取る(図2)。(3)余った1/4の量を5等分し、5人が1つ分(1/20=1/4×1/5)ずつ取ると余りはゼロ(図3)。(4)毎回、5人は同じ分量ずつ取ったので、5人の分け前はみんな同じで、1人分の量は1/2+1/4+1/20と表せる(図4)。
すなわち、この分配の手順に従えば、4/5=1/2+1/4+1/20と必ず単位分数の和で表せるというわけです。
 さて、パピルスに記述されている分数以外の分数についても、異なる単位分数の和の形で表せるでしょうか? この疑問は、現在に至っても未解決なのです。(東海大教育開発研究所長)

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