2015年4月29日水曜日

(39)監視カメラの有効な設置方法とは



2008.10.28 08:17
 最近、マンションやショッピングセンターなどで監視カメラの設置が増えてきています。防犯のため、不審者の出入りをチェックし、他人から見えない死角をなくすためには監視カメラを設置することが有効ですが、設置には経費もかかります。そこで、「なるべく少ない監視カメラで、店内全体を見渡せるようにするためにはどうすればよいか」を論じた数学の理論があります。
 図1は、ある店の平面図です。この九角形のいくつかの隅(頂点)に監視カメラを設置して、店内のどの場所も見渡せるようにしたいとします。監視カメラは360度回転し、遮る壁がない限り、どの地点も監視できるものとします。例えば、頂点Aにカメラを設置すれば、図1の色のついた部分を監視できます。この平面図をもつ店では、カメラ2台をどの頂点に設置したとしても死角が生じてしまいます。しかし、例えば、3つの頂点B、D、Gの位置に1台ずつカメラを設置すれば、店内全体を見渡すことができます。
 実は、「どんな複雑な形をした店でも、その平面図がn角形ならば、たかだかn/3台(割り切れないときは小数点以下を切り捨てる)のカメラを適切な位置に設置しさえすれば、店内全体を見渡すことができる」ということを証明する定理があります。証明の骨子は次の通りです。
 (1)n角形Pの頂点同士を線分で結び(図2の点線)、Pの内部を三角形に分割する(合計n-2個の三角形に分割される)。
 (2)n-2個の三角形のいずれについても、その3頂点が異なる色(すなわち、点線、実線の両端点が異色)になるように、赤、青、黄の3色いずれかの色でn個の頂点すべてに色をつける。
 (3)赤、青、黄のそれぞれの出現回数を数え、その回数が一番少ない色のついた頂点にカメラを設置する。
 図2の十二角形の場合、黄色が3回で最少です。一般に最少の出現回数は、平均の出現回数であるn/3以下である。よって、黄色の頂点にカメラを設置すれば全体が見渡せることになります。(東海大教育開発研究所長)

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