2015年4月29日水曜日

(31)最適停止の理論



2008.8.12 07:22
 サイコロを1回または2回投げ、最後に出た目の大きさを競う賭けをすることにします。「1回目に4以上の目が出たら、そこで止める。3以下の目の場合、もう一度トライする」という戦略で、この賭けに臨むとしましょう。すると、あなたは結果的に4.25[=3/6×3.5+1/6(4+5+6)]を獲得でき、平均3.5(各目の合計を6で割った値)を0.75上回ることができます。
 この確率の考え方を応用した理論に「最適停止の理論」があります。面接試験での採用のしかたを例にとり、解説しましょう。
 ある会社で社員1人を募集することになりました。10人の応募者があったので、1日に1人ずつ10日にわたって面接試験を行うことにしました。なるべく点数の高い人を採用したいのですが、面接直後に採否を本人に伝えなければならないとします。
10人全員を面接した後に最高点の1人を採用するのがベストですが、面接直後に採否を相手に伝えるという制約のため、上手な戦略を立てなければなりません。
 失敗例をあげれば、最初に来た85点の人を採用したが、実は後から面接予定の人の中に90点以上の人が続出した。逆に、後の方で面接する人の中に良い点数の人が来るだろうと期待し、初めの方で面接した人を次々と断ってしまったが、段々点数が低くなり、むしろ、初めの方の人を採用しておけばよかった、など。
 上述のサイコロの賭けと同様な考え方で(複雑な)計算をすると、以下の最適な採用戦略が得られます。
(1)最初の3人までは、点数を記録するだけで採用しない。
(2)4、5番目に面接した人は、それぞれそこまでの中で最高点ならば採用する。
(3)6、7番目に面接した人は、それぞれそこまでの中で2位以内ならば採用する。
(4)8番目に面接した人は、そこまでの中で3位以内ならば採用する。
(5)9番目に面接した人は、そこまでの中で5位以内ならば採用する。
(6)10番目に面接した人は、その人しか残っていないので必ず採用する。
 この戦略に従うと、平均が2.55となります。すなわち、平均して2位か3位の人を採用できることになります。
 この理論は、お見合いなどにも応用可能です。グッドラック。(東海大教育開発研究所長)

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